どのようにして放火にいたってしまったのでしょうか。
「 もうお分かりであろう。この地への転勤をするか否かが、労働者の焦眉の的であったし、労働組合の力の試金石であったのである。
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度重なる労使交渉も暗礁に乗り上げ、集会も焦りが頂点に達するころ、集会後、集会会場で酒を飲んでウサを晴らしていた一団の気勢は、ある一線を越えてしまったとのことである。その一団は気勢を上げているうちに、こともあろうに建屋に火を放ってしまったのである。
想像するに、この一団にはこのような結末を望んではいなかったと思われる。それどころか、円満な解決で退職金をもらい、近くの工場に再就職しようとしていたのではないかと思われるのである。
目先がよければいい、自分だけ良ければいい、このはずだった。しかし、気勢を上げすぎて一線を越えてしまった。いわゆるタイ人が切れてしまったのである。切れてしまったら、何をするかわからない。これがタイ人である。労働運動には不向きな気質と価値観と思われるタイ人なのに、これが怖いのである。ご用心!ご用心! 」
これがタイで初めて経験した労働争議の一部始終です。幸いにも私の会社では、ブラックレター事件は発生しましたが、労働争議はありませんでした。しかし、ひょんな行き違いから大争議につながらないともかぎらない、とお思い頂いておいたほうがよろしいのではないでしょうか。